がんは遺伝子が傷つくことによっておこる病気です。なかでも乳がんは、女性の罹患(りかん)数が最も多いといわれています。がんの治療法は、症状によりさまざまです。
患者への負担が比較的少ないといわれるホルモン療法も、ホルモンバランスの乱れにより、多くの副作用を引き起こし、肌にもさまざまな影響を与えます。
がんの治療中、前向きな毎日を送るためにも、どのようなケアをすればよいのでしょうか。
ホルモン療法とは
乳がんのなかには、女性ホルモン(エストロゲン)によって、がん細胞が増殖するタイプのものがあります。がんの進行を抑え、再発を予防するには、ホルモン療法は有効な治療法です。
ホルモン感受性乳がんには、抗エストロゲン薬、閉経後の女性にはアロマターゼ阻害薬 (エストロゲンの産生を抑える)が処方されます。
がん治療中の肌への副作用
副作用は治療法によってさまざまです。 ホルモン療法では、女性ホルモン(エストロゲン) の産生を抑えるため、一時的な更年期障害が起こります。
肌は、皮脂分泌量の減少による乾燥など、自然に年を重ねて起こる更年期障害と同じような症状があらわれます。また、ホルモン療法を行うと、白ニキビや黒ずみ、大人ニキビができることもあります。
女性ホルモンには、男性ホルモン(アンドロゲン)の抑制効果もあるためです。
乾燥した肌にやわらかさとなめらかさを取り戻すためのケア
ホルモン療法の副作用として、肌の乾燥、つっぱり感、赤みやかゆみ、タルミやシワなどの老化のサインがみられることもあります。また乾燥が進み、肌がかさかさしてしまうこともあります。
-洗うケア:肌に優しいクレンジングミルクやフォームなどで、汚れを落としながら、栄養と水分を補給しましょう。
-与えるケア:肌になじみがよく、栄養効果の高いリッチな感触のクリームを使用して、肌を柔らかく、ふっくらとさせましょう。
-特に乾燥が気になるとき、水分、ビタミン、ミネラル、アミノ酸、脂肪酸などの栄養素が豊富なアロエベラを取り入れることで、肌の不快感を落ち着かせます。
-コラーゲンの生成を促し、乾燥でしぼんでしまった肌に、内側からうるおいをもたらし、ふっくらとしたハリを取り戻す、ヒアルロン酸もおすすめです。
そして何よりも、身体の内側からの水分補給として水をたくさん飲みましょう。!
ホルモン療法中のニキビケア
ホルモン療法中による副作用のニキビも、通常のニキビとお手入れ方法は同じです。
-朝晩2回、オイリー肌から混合肌に最適な、洗い流し不要のミセラーウォーターや、穏やかに皮脂を取り除くクレンジングジェルなどの洗顔料で肌を清潔にします。
-洗顔後の与えるケアとして、過剰な皮脂を調整し、バランスを取り戻す成分の配合された、ニキビのもとができにくい、ノンコメド処方のクリームやジェルで保湿します。
-プロポリスは、余分な皮脂で荒れがちな肌を清浄に保ち、肌荒れの原因が育たないような環境を作ります。気になる部分のパーツケアとしてもおすすめです。
- 週に1~2回、粒子の細かいスクラブ剤を使用して、毛穴の奥までやさしく洗浄します。その後、クレイマスクを使用することで、さらに皮脂分泌を抑えることができます。
ホルモン治療中の副作用は一過性のものです。
ただホルモン治療が終了するまで5~10年の継続治療の期間が必要です。
このつらい時期に、肌に優しい製品で毎日のケアをすることで、少しでも快適な日常を過ごせるようにしましょう。毎日のスキンケアが、自分に自信を持つための小さなステップになりますように。
がんになっても自分を大切にし、肌をいたわること
がんに罹患(りかん)すると、診断・治療の過程において、副作用や精神的なストレスなど、気持ちが不安定になることが考えられます。心の負担は、身体や肌にも、不調となってあらわれます。
毎日のスキンケアで、快適な肌を取り戻すこと、肌と自分自身をいたわることが何よりも大切です。